【解説】温暖化防止バリ会合について

現在、12/3〜14までの期間でインドネシアのバリ島にてCOP13、COPMOP3が開催されています。ご関心の方も多いと思うので、簡単に新聞等の報道をもとに纏めました。

2012年に制度として期限が切れる京都議定書の次期枠組み(ポスト京都)の本格交渉を始めるのがこの会合。かつ2013年にスムーズに次の枠組みに移行するためには各国の行政手続きの関係で2009年が交渉のタイムリミットになると言われているため、2007〜09年のCOPが最大の山場となるもの。

今回の論点は
1.次期枠組みにおいて先進国の削減目標が提示されるか。
2.2009年の交渉期限を目指した全ての国を巻き込む交渉プロセスが立ちあげられるか。
の2点が主なもので、この会合で出来ると期待される温暖化防止の枠組み交渉の行程表が「バリ・ロードマップ」と言われています。

京都議定書成立時に比べると、中国、インド等の新興工業国からのCO2の排出急増に伴い、現在の議定書の削減義務の国(仮に米国を含んだとしても)だけでは温暖化防止には繋がらないというのが共通認識になりつつあります。ちなみに中国は昨年米国を抜いて世界一のCO2排出国になったと予測されています。このようなことから米国、中国、インドを含んだ枠組みを作ることが大きな課題と言われています。

ちなみに全世界で2050年CO2半減は、途上国の今後のCO2排出の増加により、先進国のCO2排出を仮に0にしても、途上国が通常の排出予測から4割以上削減しなければならないという非常に厳しいものです。

1,2についての各国のスタンスは下記のような感じです。

EU:
1.途上国を巻き込むためにはまず先進国の厳しい数値目標の設定が不可欠。
 2020年までに1990年比で25−40%削減を主張。
2.全ての国、地域が参加する新たな交渉プロセスの設置。

米国:
1.交渉を制約する数値目標には反対、交渉プロセスの立ち上げを優先。
2.全ての国、地域が参加する新たな交渉プロセスの設置。

日本:
1.厳しい数値目標を先に提示すると米国が参加せず、ひいては中国も参加しないと主張。まずは交渉プロセスの立ち上げを優先。
2.全ての国、地域が参加する新たな交渉プロセスの設置。

中国、インド他途上国:
1.まずは歴史的に責任のある先進国が厳しい削減目標を負うべき。
2.新たな交渉プロセスは先進国のみの削減を議論すべき。

1,2の論点で現在途上国と先進国が対立しており、12日から始まっている閣僚レベルの会合に議論が持ち越されています。最後までどのようになるかがわからない状態です。なお今日14日が交渉の最終日ですが状況によっては15日までずれ込む見込みです。