世界が直面する砂漠化〜中国での防止の試みの概要報告

11/11緑の地球ネットワーク(GEN)さんのセミナーに行ってきました。
簡単に概要報告を。植林事業は確実に広がり、現地の人々の意識を変えていると実感しました。これが代表の高見さんの15年の努力によるものというのは圧巻です。ただし現地でも温暖化の影響は確実に現れてきているようで。、今後10、20年後への影響が心配されました。
緑の地球ネットワークの活動はこちらをご覧下さい。
http://homepage3.nifty.com/gentree/

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世界が直面する砂漠化〜中国での防止の試み

パネリスト:明日香壽川さん(東北大学東北アジア研究センター教授)
      中村 英さん(朝日新聞総合研究本部主任研究員)
      高見 邦雄(GEN事務局長)
日時:2006年11月11日(土) 13時30分〜16時(13時開場)
場所:JICA地球ひろば 3F講堂(東京メトロ日比谷線「広尾」駅A3出口徒歩1分)
概要

○緑の地球ネットワーク(GEN)は15年前から山西省大同にて植林活動をしているNGO。

○周囲は黄土高原と呼ばれており、年間降水量は500mm前後と東京の1/3程度しかない。ここでは水と農業のキャパシティに比べ人口が多すぎるため、砂漠化が進行。農作物収入が低いために、中国の中でも極めて貧困地域となっている。一人当たりの年収が500元(7,000円程度)しかない人も数多くいる。

○人口増加が、森林破壊や貧困に繋がる悪循環が断ち切られないでいる。

○適切な管理策をすれば、山地では森林は自然に再生してくる所もある。(再生した深い森や花々の写真に驚きました。)

○GENが植えたあんずは旱魃に強く、その実はこれまで作っていたトウモロコシよりも高く売れるので、農村の人々の生活向上に役立っており、あんずの植林→収入向上という好循環が生まれてきた。悪循環を好循環に変える鍵があんずに当たる。

○以民促官(民衆をもって官僚を動かす。)/以経促政(経済をもって政治を動かす。)/以文促情(文を使って人々の心を動かす。)ことが重要。

○大同近辺は水不足の影響が著しい。近くを流れる北京の水源の一つである桑干河(そうかんが)の流量はここ50年で1/25に減ってしまった。

○北京、天津でも水供給は大問題になっている。聞いた話では北京、天津近辺では農作業を禁止して、農業用水を都市に回すことを検討中。

○温暖化の影響によるものか、1990年代以降は年間総雨量はそれまでと変わっていないものの、春の作物の蒔きつけ時に降る雨が少なくなり、夏に集中的に豪雨になるなど降水パターンが確実に変わってきている。

○今年は5/10までは雨が降らず、トウモロコシの種を植えることがそれまで出来なかった。それ以降雨は比較的多かったが、実が成る時期に全く雨が降らなかったため、トウモロコシは極めて不作になった。気候変動により雨の降る時期が2週間ずれると大同では作物に深刻な悪影響が出てくる。